「プレミアム」と「ブランド」はぜんぜん違う話だった
キッチンカーが売れ続けるのはなぜか。
ずっとそれを考えてきた。
そして最近、大切なことに気づいた。
「売れている理由」と「ずっと売れ続ける理由」は、
まったく別の話だということに。
まず「プレミアム」とは何か
プレミアムとは、
シンプルに言えば「希少性」のことです。
欲しい人の数が、
手に入る数を上回っているとき、
そのものには価値が生まれます。
たとえば、週に1〜2回しか
出店しないキッチンカー。
行列ができる人気店のラーメン。
限定100個のスニーカー。
これらに共通するのは
「なかなか手に入らない」という事実です。
かなたけのおにぎりも、
最初は「あのキッチンカー、いつも売り切れてる」
という希少性から人気に火がついた部分があります。
出会えたとき、「今日はラッキー!」と
思ってもらえる。それがプレミアムの力です。
でも、ここに落とし穴があります。
プレミアムは「条件」で崩れる
もし私が毎日、長時間、出店して、
どこでもかなたけのおにぎりが
買えるようになったら、どうなるか。
「あ、またあそこにいるね」——そう思われた瞬間、
希少性は消えます。
プレミアムは需要と供給のバランスの上に
乗っかっているだけなので、
供給が増えれば、あっさりと崩壊するんです。
プレミアム=「手に入りにくいから欲しい」という感情。条件が変われば崩れる。
ブランド=「ここじゃないと意味がない」という信念。
理由があるから守られる。
プレミアムは戦術です。ブランドは戦略です。
プレミアムだけで戦っていると、
いつか必ず限界が来る。
では「ブランド」とは何か
ブランドとは、消費者の頭の中に刻まれた
「意味」のことです。
そのお店・その商品が、
自分にとって何を意味するのか。その物語です。
たとえば「スターバックス」。
別にコーヒーを飲みたいだけなら、
コンビニで100円で買えます。
でも多くの人はわざわざスタバに行く。
なぜか? あの空間にいる自分、
あのカップを持つ自分——
そこに意味があるからです。
ブランドとは、「なぜここでなければならないか」
という答えを、相手の心の中につくることだ。
かなたけが植え付けたい「意味」
うちの場合、どんな意味を持ってもらうべきか、
ずっと考えてきました。
たどり着いたのはこれです。
「女神のほほえみを炊きたて、
愛情を込めて、その場で握った一個」
これは工場では再現できない。
チェーン店では代替できない。
どこにでも出店したら、
逆に意味が薄まってしまうものです。
子どもに無料でおにぎりを届ける活動を
続けているのも、単なる「いい話」ではありません。
「社会に意味のある一個を握っている」
というブランドの文脈を、毎回積み上げているんです。
おにぎりでえがおにしたいとの想いがあります
ブランドをつくる順番
多くの人が「ブランドをつくろう」と
言いながら、最初に手を出すのは
ロゴやデザインです。で
も本当の順番は違います。
① 「意味」を先に決める
自分のお店・商品は、お客さんにとって
何を意味するべきか。言語化する。
② その意味を「体験」させる接点をつくる
商品・接客・SNS・活動——
すべてがその意味を体現しているか確認する。
③ 体験した人が「言葉にして広める」環境をつくる
口コミ、SNS投稿、コミュニティ——
人が語りたくなる仕掛けを設計する。
④ 供給は「語られるスピード」に合わせて広げる
急いで拡大しない。ブランドの意味が
浸透するペースで、丁寧に増やす。
プレミアムとブランドは矛盾しない
誤解しないでほしいのは、
プレミアムが悪いわけではありません。
プレミアムは人を引き寄せる力があります。
まず「気になる」と思ってもらわないと、
ブランドの意味を届ける入口にすら立てない。
大切なのは、プレミアムで引き寄せた人に、
ブランドの「意味」を体験させること。
この順番を間違えなければ、
プレミアムとブランドは
最強の組み合わせになります。
プレミアムは「今日来た理由」をつくる。
ブランドは「また来る理由」をつくる。
最後に
私がおにぎりを握るのは、
ただ売るためではありません。
一個一個に、受け取った人の笑顔を
想像しながら、気持ちを込めています。
おにぎりでえがお なんです。
それが伝わったとき、
「また会いたい」と思ってもらえる。
「あのおにぎり屋さん、どこに出てる?」と
探してもらえる。その積み重ねが、
プレミアムを超えた、
本当のブランドになっていくと信じています。
まだまだ道の途中ですが、
100年続くキャラクター「かなたけちゃん」と
一緒に、ゆっくり、確実に、
その意味を育てていきます。
おにぎり屋かなたけ


